あなたの耳鳴りのタイプや特徴をチェックしよう
「耳鳴り・難聴を自力で治す最強辞典」から、JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長 石井正則(いしいまさのり)先生おすすめの方法を抜粋してご紹介します。著書に『耳鳴りがスッキリする呼吸がわかった』。
単に耳の状態が悪いだけではない
耳鳴りと難聴は、耳の症状の中でも多くの人が悩まされている症状です。
最初に知って欲しいことは、症状が現れているのは、単に耳の状態が悪いだけではない、ということです。
症状に悩んで耳鼻咽喉科を訪れる人には、共通した特徴があります。
それが、疲労、ストレス、寝不足という3つの要因です。
こうした要因が背景にあり、それがきっかけで耳鳴りや難聴の症状が現れるケースが非常に多いのです。
しかも、患者さん自身がそれを自覚していない事も多い。まじめな人ほど疲れているのに気づかず、さらに頑張ってしまいます。
その結果、疲労が蓄積し、しだいに眠れなくなり、耳鳴りや難聴の症状が出てくるのです。
耳鳴りがどのタイプかを認識する
耳鳴りは、タイプや特徴によって、いろいろに分類されます。
耳鳴りの音が自分だけに聞こえて、他人には聞こえないものが「自覚的耳鳴り」。
多くの患者さんは、この「自覚的耳鳴り」のほうを訴えます。
もう一つが、他人にもその音が聞こえる「他覚的耳鳴り」です。
また、耳鳴りの音からも区別できます。
ブーン、ゴーッというような低い音がして、耳が詰まった感じに聞こえるのが「低音性耳鳴り」です。
一方、キーン、ピーッというような音や、金造音、電子音に似た音のするのが「高音性耳鳴り」です。
低音性耳鳴りは、低音障害型難聴やあ、メニエール病で多く起こります。
耳管狭窄症や耳管開放症といった耳の疾患で起こることがあります。
高音性耳鳴りは、短い耳管であれば、誰もが経験する耳鳴りです。
長時間続く時は、突発性難聴、老人性難聴、騒音性難聴、外リンパ瘻、などが疑われます。
さらに、耳管的な面からも分類され、1つがある日突然起こる「突発性耳鳴り」、これに対し慢性的に症状が続く「慢性耳鳴り」です。
また、患者さんの中には、頭の中で音がしていると訴える人もおり、これは「頭鳴」といい耳鳴りの一つと考えられています。
こうした耳鳴りの分類を知っておけば、耳鼻咽喉科へ行って自分の症状を説明しやすく、医師の方も診断が的確にできるようになるでしょう。
糖尿病や高血圧が原因のこともある
苦痛の程度は、4段階に分けることができます。
第1段階は、絶えず耳鳴りを感じるわけではなく、静かな場所だと気になる程度で、苦痛もあまりない軽度の耳鳴り。
第2段階は、常に耳鳴りはあるものの、何かに集中しているときは、忘れてしまっているという程度の耳鳴りです。
就寝時に耳鳴りを自覚しますが、眠れない位ほどではない、比較的軽度の耳鳴りです。
第3段階は、常に耳鳴りが感じられ、仕事や火事などに支障をきたし始める段階です。
イライラしたり、ストレスを感じたり、苦痛度がやや高くなり夜も寝付きにくくなります。
第4段階は、さらに苦痛度が増し、生活に大きな支障をきたすことになります。
夜もほとんど眠れず、睡眠不足や疲労、ストレスに悩まされます。
こうした4段階の区分は、症状の感じ方によって分けられるもので、客観的な基準があるわけではありません。
人によってはあまり気にならないということもよくありますが、「耳鳴り」や「難聴」は「健康のバロメーター」といって良いでしょう。
ウォーキングが大きな効果を発揮
疲労回復を進め、ストレスや寝不足解消するためにお勧めするのが、ウォーキングやジョギングなどの運動です。
仕事が忙しい方は、通勤の行き帰りに、1駅程度歩くようにすると良いでしょう。
1日に30分程度歩くのが目安ですが、1日のトータルで1時間歩くのが理想的です。
よく歩くことで運動不足が解消でき、よく眠れるようになります。こうした好循環ができればストレスが減り、熟睡できるようになり、疲労回復も進むでしょう。
症状が軽度ならこうした日常生活の配慮だけで、改善することもじゅうぶんあります。
それでも耳鳴りなどの症状が治らない、どんどん症状がひどくなっていく、耳鳴りと難聴が併発している、という場合には、耳鼻咽喉科を受診し、原因を突き止めることがたいせつです。